どんなドラマ?
現在Amazon Primeで無料配信中!ドラクエ世代ならニヤっとなるユル~い冒険活劇!
映画「銀魂(ぎんたま)」や「今日から俺は!!劇場版」の監督・脚本をつとめた福田雄一監督が、脚本・演出をつとめた作品。
もともと素朴な村の素朴な青年だったヨシヒコがドラクエ的な理由で勇者となり、魔王を倒すために仲間と共にこの世界にはびこる魔物を倒しながら冒険をする物語。
チープでユルユルな演出のためにとりあえずレール代わりに敷かれたストーリーがあるといった感じで、そのレールをヨシヒコ一行を乗せて走る世界の車窓を堪能する…という福田雄一作品ならではの肩の力が抜けまくった秀逸なコメディドラマとなっている。
2011年にシリーズ1作目がはじまり、本家ロトシリーズに合わせたかどうかは知らないがシリーズ3作目で昨年惜しまれつつ終了。
- シーズン1「勇者ヨシヒコと魔王の城」(2011年7~9月)
- シーズン2「勇者ヨシヒコと悪霊の鍵」(2012年10~12月)
- シーズン3「勇者ヨシヒコと導かれし七人」(2016年10~12月)
というシリーズ構成でそれぞれ全12話、あますとこなくユルい。
OPムービーの中に流れる↓この堂々とした開き直りの1コマがこのドラマのすべてを物語っている。
ちなみに音楽といい映像といい、オープニングがめっちゃカッコいい。
ぜひ実際に出演者全員を容赦なくカッコ良く見せるオープニングを Amazon Prime ビデオで見ていただきたい。
どのシーズンももれなくカッコいいけど、個人的にはシーズン2のオープニングが超クールで好き。
今をときめく人気俳優たちのスットボけた演技が最高!
ひと昔前の阿倍寛さんくらいからか、けっこう派手なコメディタッチで演技をするのもイケメン俳優や美人女優のステイタス…とばかりに、やたら幅の広い演技が要求される昨今のドラマ界ですが、この「勇者ヨシヒコ」シリーズではさらに出演者全員一丸となって役者魂を発揮しています。
それでは、まずは旅の主役をつとめるレギュラーメンバーをご紹介。
以降、ある程度のネタバレを含むので、そういうのが苦手な方は早々の避難をお願いします。
●愚直に真面目な「勇者ヨシヒコ」(山田孝之)
精神科に通う必要がありそうなほどまったく空気がよめないくそ真面目で誠実な勇者。
真面目すぎて普段はまるで催眠術にかかったように打倒魔王に一途だが、旅先で美人に出会うと、これまた催眠術がかかったように魔王討伐を忘れて今度は欲望に一途になってしまう。
ヤキモチ…いや旅の行く末を心配したムラサキが
「ヨシヒコ!魔王討伐は忘れたのかよ?」と問いただしても
「そんなものはどうでもいーーーっっ!!!!!」と
しっかり眼を見開いてドスの効いた声を張りブチ切れる姿はいっそ清々しく、ちょっとキレイな女性が出てくると、いつまた「脱線スイッチ」が入るかとつい心待ちにしてしまう。
●まったく使えない「魔法使いメレブ」(ムロツヨシ)
2枚目風な振舞いを見せる3枚目魔法使い。
使えない呪文ばかりおぼえて、何でこんなヤツがメンバーに…?と思われそうだが、頭の回転は早くある意味知的で空気が読めるので天然系だらけのメンバーにとって結果的にとりまとめ役みたいなポジションを担うことが多い。
旅のツッコミ役として…ときにはオチとして…と、幅広い役割を担ってるわりに何かと報われない残念さを痛快に見せるムロツヨシの魅力が光ってます。
●男勝りで気丈な「村娘ムラサキ」(木南晴夏)
気が強く口の悪い負けず嫌いな村娘。
こちらもダメージ1くらいしかない短刀が武器で戦闘力はほぼゼロ。
紅一点だったら少しくらい色気があるものだが、本当に驚くほど色気が無いという珍しいキャラクター。
その理由として針を振り切ったブサイクな表情や異様な動きといった難易度の高い無茶を振られ、さらにそれを余裕でクリアする迷いの無い演技が挙げられる。
毎度旅の先々で出会う可憐な女性たちにヨシヒコが惚れてしまい、ライバル心むき出しで対抗しようとするムラサキだが、どうあがいても太刀打ちできないゼロスペックの女子力に、これまで旅を供にしてきた仲間ですらフォローできず、最後はただ本人が逆切れしてふてくされて終わるというなんとも可哀そうな顛末を毎回迎える。
だがここもまた女性キャラが登場したときにワクワクするポイント。
あと、いつもペチャパイをイジってくるメレブといっそ付き合えばいいのにと思うほど相性が悪い。
●頼もしい無骨な「戦士ダンジョー」(宅麻伸)
豪胆な戦士でメンバー唯一の頼れる戦闘力。体育会系の脳筋。
メレブやムラサキとは方向性が違いお笑いパートを大きく担うことは比較的少ない。
しかし敵が女性だったりすると、分かる人には分かるコードネーム「コーサク」というキャラで大人の戦い方をすることもあり要所でハジける。
あと意外に心はオネエとか、可愛い動物好きなイカついおじさんというギャップキャラも背負っており、こちらも要所で見ることができる。
中年という設定なので、ときおり大人目線で女性を見てはつい口に出してしまい、そのたびにムラサキから「おっさん」「べえすけ」と揶揄されている。
…と、こうやって書いてるとやはり本来のリーダーであるヨシヒコのダメっぷりが際立っており、むしろヨシヒコをみんなで魔王のところまで連れて行ってあげるドラマ…というのが正解だろう。
そして忘れてはならないのが、この人。
●旅のナビゲーター「仏(ほとけ)」(佐藤二朗)
ヨシヒコたちに毎回お告げとお説教をする仏様。
いつも要点を言わずはしゃぎ続ける嫌われ者の課長みたいなウザキャラを、軽妙にそして粘着性も備えつつ貫きとおすのが最大の魅力。
メンバーからめっちゃ嫌われてるが、嫌われてもその火に油を注ぐようにさらにつまらない小ボケを重ねて応戦する太い神経がまさに仏クラス。
メンバーからはつねに「おいホトケ」ときには「このクソボトケ」とシャレの通じない仏教関係者からバチが飛んできそうな呼ばれ方をされているが、本人もへとも思ってなさそう。見てるこっちもイラっとするやら笑えてくるやらで憎みたいのに憎めない。
気弱な豆腐メンタルの中年男としてはアレくらいふてぶてしい神経に憧れが止まない。
ほかにも見どころがたくさん
ほかにも、毎回ヨシヒコを影から見守る妹のヒサ(岡本あずさ)のエスカレートしていくコスプレをはじめ、必ず金品を奪いにやってくる盗賊たち(毎回ちがう豪華ゲスト)からも目が離せない。
特にゲストは見てるこっちが「え?」と驚くような「旬なゲスト」が登場するので盗賊のシーンは楽しみの1つだ。分かってると思うがあえてもう一度言おう「旬がゲスト」で出てくることもある。ネタバレではない、タイプミスだ。
そして毎回、テレビが大好きだった今30~40歳くらいのドラクエ世代ならドラクエだけでない「ニヤ」っとしてしまうシーンが満載だ。
あえて触れないが、2話3話と見ていくたびに面白くなってくるのでここはぜひ Amazon Prime ビデオ で本編を見てニヤっとしてほしい。
正直、ハマらない人にはまったくだというのはよく分かる、それだけクセが強い。しかし、ハマる人なら「あのシーンもう1回見たいな!」と思わせるほどのクセだというのも確かなので、ぜひ一度、この本場とんこつラーメンのようなドラマを見ることをおすすめしたい。
いずれネタバレ覚悟でシーズンごとの見どころもぜひお伝えしたい。
それほど「誰かにおすすめ」したくなるドラマ「勇者ヨシヒコ」シリーズをレビューしてみました。